バックカントリーのスノボブーツはK2「TT スノーサーファー」一択 選ばれている理由と歴代変更点のまとめ

バックカントリー

バックカントリーで“自在に動く”ならK2「TT(Taro Tamai)スノーサーファー」。柔らかいフレックス、SpaceHeater™ライナーの保温、ネオプレン製パウダーガード、RollSole形状、Vibram®ソールのグリップまで徹底レビュー。


BCは“しなやかさ×歩ける足裏×雪の侵入対策”で決まる

ツリーのタイトターン、長いトラバース、ディープパウダーの面。バックカントリーで効いてくるのは、硬さよりも柔らかさ(足首のロール)保温性雪の侵入を防ぐ仕立て、そして歩けるグリップです。そこで推したいのが K2「TT(Taro Tamai)スノーサーファー」
本記事は次の5点から、その価値を整理します。

  • 柔らかさ:サーフライクな体重移動を引き出すソフトフレックスとこだわり設計
  • 保温性:SpaceHeater™×Intuition®で冷えにくい
  • パウダーガード:ネオプレンのレースカバーで雪をブロック
  • アウトソール形状:RollSoleで足首が“転がる”設計
  • Vibram®グリップ:凍結面や踏み跡でも歩ける安心感

推し①:柔らかさ——“倒し込み”がそのまま推進力になる

TTスノーサーファーはソフト寄り。足首を倒したい方向へ素直に動き、レール to レールの切り返しが軽くなります。ツリーの小回りや地形遊びで“足首の角度をちょっと変えるだけでボードがついてくる”感覚は、硬めブーツでは得がたい魅力。ハイク後の脚にも優しく、1本ごとの疲労が蓄積しにくいのも◎。

また、アウターブーツにはもともと自然な姿勢を取りやすいように内側に3°、前方に6°倒した形状になっています。そしてブーツ内側は外側に比べて低く設計されていることで、さらに膝を入れやすくスノーサーフの理想とする両膝を内側に入れた姿勢を取りやすくなっています。

ブーツ後方上部にも柔らかい素材が使われているため、後ろにも倒しやすくなっており、ヒールエッジを立てる際に若干の遊びがあることでコントロールしやすくなっています。ハイクアップ時の歩幅アップにもつながっておりどこを取っても考え抜かれた設計です。

柔らかさとは別ですが、形状としてもう一つの特徴はつま先に比べてわずかに踵が低い設計にもなっており、トゥエッジを立てた際に重心が前方に倒れて内倒せず踵も自然に踏み込めるようになっています。内倒で悩んでいる方にもおすすめの設計です。

推し②:保温性——SpaceHeater™×Intuition®で“冷えにくい”

つま先の冷えは集中力を奪います。TTはSpaceHeater™搭載のIntuition®ライナーで、熱反射→保温を確保しつつ、熱成形でさらにフィット感を高めます。極寒の日でも“足先の余力”が残り、ロングツアー終盤にも踏ん張りがききます。足先の冷えには防寒を追加することができないため、ブーツの性能がすべてです。冷えを感じるとバックカントリーはまったく楽しめず早く帰りたい気持ちしか湧いてきません。さらにトラブルがあって雪洞でビバークすることになったときは死活問題です。本当にお金をかけるべきところだと感じます。

推し③:パウダーガード——ネオプレンの“雪止め”が効く

甲部を覆うネオプレン・レースカバー(いわゆるパウダーガード)が、重たい湿雪の“じわ侵入”をブロック。タンの隙間からの浸水も抑え、1日中ドライな足元をキープ。「冷えの原因=濡れ」を断つ実戦装備です。ほとんどのブーツにはこれがついていないので、デザイン性としても一つ上のグレードに感じさせます。

推し④:アウトソール形状——RollSoleが生む“足裏の自由度”

Vibram® RollSoleはソールの側面に丸みを持たせ、足首の動きを邪魔しない形状。エッジ角を立ち上げるときのつながりがなめらかで、微妙な荷重移動にブーツが追従。フラット寄りの底面でも“転がる”感覚が得られるため、低速の面遊びでもライン取りの自由度が上がります。

推し⑤:Vibram®のグリップ——“歩ける安心感”は正義

Vibram®ソールの深いラグが、凍った踏み跡やアイシーなトラバースでも確かなトラクションを発揮。さらにHarshmellow™系のダンピングで振動・突き上げを吸収してくれるので、帰路の林道歩きや岩混じりの乗り上げでも足裏が静か。結果、体力残量=安全余裕が増えます。


世代ごとの変更点

コンセプトは玉井太郎さんのこだわりポイントが統一されているため、初代から変わらないところだと思います。スノーサーフライクな乗り方に特化したブーツとなっていて、ソフトフレックスで足首を固定しない自由度の高い滑り心地が特徴のブーツとなっています。下記に10年かけて変わってきた大まかな変更点をまとめておきます。過去は受注生産だったり、大量生産するようなギアではないので過去のモデルを手に入れるのは難しいかと思いますが、直近2年くらいなら探せば可能ですね。10代目は素材の変更、前モデルとの差が大きいですが、6~8代目は性能変更ありません。参考にしてください。

シーズン世代主な変更点素材 / カラー
2016-2017初代合皮ラバーの単一モデル/ダブルBOA/パウダーガード/Vibram
2017-20182代目つま先周りのラバー配置に変更
2018-20193代目前傾・内側カントを追加/インナーがロールタイプに変更
2019-20204代目取り外し可能なインナーハーネスを追加
2020-20215代目シューレースがワイヤー→ロープに変更/レースガイド取り外し
2021-20226代目変更点なし合皮ラバーのみ(オレンジ)
2022-20237代目メンズ/レディース → ユニセックスに変更/2モデル展開レザー or 合皮ラバー(ネイビー)
2023-20248代目パウダーガードのファスナー:外側 → 内側に変更レザー or 合皮ラバー(ダークレッド)
2024-20259代目インナーのくるぶし周りの変更/インナーハーネスのレール廃止レザー or 合皮ラバー(マスタード)
2025-202610代目パウダーガード・タン・インナー等の素材変更で耐久性UPレザー or 合皮ラバー(ダークグレー)

サイズ選び・セッティングのコツ

  • サイズ感:正しい履き方で足長ぴったり〜ややタイトなサイズを選択した方がいいです。アウターは足の形に合わせて形を作ってくれるお店で購入することをお勧めします。さらに熱形成もできるため、より足にフィットしたブーツに変化してきます。※熱形成はインナーブーツの劣化が早まるという意見もあります。必ず行うものではありません。
  • ソックス:薄手で伸びがよく、汗抜けの良いメリノ混が相性◎。保温はブーツ側に任せ、ソックスは“汗管理”に振る。
  • メンテナンス:使用後は必ずインナーブーツとインソールを取り出して乾かしてください。せっかく耐久性の高いブーツなので、長く使用するためにアフターケアが大事です。

正しいブーツの履き方

  • ①立った状態で足を入れたら3回地面を強く踏みつけます。
  • ②座って3回踵を地面に強く叩きつけます。
  • ③踵がしっかり入ったところで立って、足首を曲げのばししながらBOAを締めたり緩めたりしてテンションを最適化します。
  • 好みの締め具合に調整しなおして初めて正しく履いた状態となります。

まとめ:TTスノーサーファーは“自由に動けるBCブーツ”の到達点

遊びはなんでもそうだと思いますが、ギアにストレスを感じながらでは本当に楽しい時間を過ごすことができません。ましてや命の危険もある環境下ではなおさらです。このブーツならギアに対するストレスを忘れて、最高の時間を過ごすことができるかと思います。例年大きな変更点がないところもこのブーツがすでに最高傑作になっている証拠だと思います。マイナーチェンジはあるかと思いますが、まだ買わなければよかったという残念な思いはしないと思います。高い買い物ですが、コストパフォーマンスは実は高いのではないでしょうか。

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