はじめに|夏山は意外と寒くない?
「山のテント泊=必ず分厚いシュラフが必要」というイメージを持っていませんか?
実は、夏山(7〜9月)の標高2000〜3000mクラスなら、必ずしも高価なダウンシュラフを買う必要はありません。
特に、これからテント泊を始めたい方や、荷物を軽くしたい方には、シュラフカバー+工夫で十分対応できるケースが多いんです。
この記事では、
- 気温帯ごとの装備の優先順位
- シュラフカバーでの過ごし方
- 寒さに応じて追加していくアイテム
を詳しく解説します。
夏山の気温目安(標高別)
登山の寒暖差を理解するために、まずは夏山の夜間気温をざっくり把握しておきましょう。
標高 | 夏(7〜9月)の夜間気温目安 | 対応レベル |
---|---|---|
2000m | 10〜15℃ | 半袖+長袖で快適 |
2500m | 5〜10℃ | 長袖+軽めの防寒着 |
3000m | 0〜5℃ | 防寒着必須、冷え込み注意 |
※晴天・無風時の目安。悪天候や強風が加わると体感はさらに低くなります。
シュラフよりもまず「シュラフカバー」がおすすめな理由
- コスパ最強
1万円以下で手に入るモデルもあり、厚手と薄手2つのダウンシュラフを用意するより圧倒的にコスパがよい。 - 軽量・コンパクト
500g以下の製品が多く、ザック容量を圧迫しない。 - 汎用性が高い
夏山では単体使用、寒い時期はダウンシュラフの外側にかけて保温アップ。 - 防水・防風効果
朝露や結露から体やシュラフを守ってくれる。
温度帯別の対応方法|優先順位で考える
ここからは、気温ごとの具体的な対応方法を解説します。
持っていく優先順位は ①シュラフカバー → ②ダウンウェア → ③ダウンシュラフ の順です。
① 夜間10℃以上(標高2000m前後)
→ シュラフカバー+インナーシュラフ+ダウンベストでOK!
- 装備例
- シュラフカバー
- インナーシュラフ
- 行動着のTシャツ、長ズボン、雨具
- 保険としてダウンベスト - ポイント
- 夏の低山や標高2000m程度では、体を包むだけで十分暖かい。
- インナーシュラフは洗濯が容易で肌触りも快適。想定より暑い時は特に快適になる。
- 寝袋を持たない分、ザックの軽量化が図れる。
- 想定より寒いときは雨具やダウンベストを着て調整。
② 夜間5〜10℃(標高2500m前後)
→ シュラフカバー+インナーシュラフ+ダウンウェア
- 装備例
- シュラフカバー
- インナーシュラフ(軽くするためになしでもOK)
- 行動着の長袖シャツ、長ズボンや雨具等
- ダウンベストorダウンジャケット+ダウンパンツ - ポイント
- 雨具やダウンウェアをシュラフの代わりとして使用。
- ダウンジャケットやダウンパンツなら、テント周辺の行動時の使用も兼用可能。
③ 夜間0〜5℃(標高3000m前後)
→ シュラフカバー+ダウンウェア(ジャケット、パンツ、ソックス)をしっかり装備
- 装備例
- シュラフカバー
- 行動着の長袖シャツ、長ズボンや雨具等
- ダウンベスト+ダウンジャケット+ダウンパンツ - ポイント
- 足先が寒いときは、ダウンパンツを下げて足先まで覆うようにしておく。
- 全身を防寒着で包みシュラフカバーに入ることで、寝袋なしでも保温が可能。
- 強風や悪天候時は体感温度が一気に下がるため、雨具も着たまま。
④ 夜間0℃前後(晩夏〜秋口の高山・悪天候時)
→ シュラフカバー+ダウンウェア+夏用ダウンシュラフで完全防寒
- 装備例
- ダウンシュラフ(快適温度10℃前後でOK)
- シュラフカバー
- 行動着の長袖シャツ、長ズボンや雨具等
- ダウンベスト+ダウンジャケット+ダウンパンツ
- ダウンソックス - ポイント
- シュラフカバーとの組み合わせで保温力UP。結露対策にもカバーが効果的。
- 足先の冷え対策にダウンソックスが効果的。
- 寒さ対策を強化させるには、シュラフよりエアマットの充実を。
- 夏用シュラフで十分だが、雪山もやるなら快適温度0℃前後のダウンシュラフが第一選択。
実際に使ってみた感想

コスパパは標高2000m、夜間15℃ほどの気温のテント泊で、下記装備で快適に過ごせました。
途中暑くなりダウンベストを脱いだり、シュラフカバーのチャックを半分開けるなど調整しながら過ごしていた感じです。テント泊なのに軽くてかさばらないので、朝のパッキングがとても楽で、テント撤収がスムーズでした。山行距離も楽に伸ばすことができました。
- OUTBEAR ULウルトラライトシュラフカバー
- Nature hike インナーシュラフ (重量350gの古いモデル)
- UNIQLO ダウンベスト

ちなみに冬山登山の時は-10~-15℃の雪上テント泊でもこの考え方で大丈夫でした。ナンガウォータープルーフシュラフカバー+ナンガUDD BAG 380DX(快適使用温度3℃)+ダウンウェア(ジャケット、パンツ、ソックス)で保温効果は問題ありませんでした。念のため別でもう一つダウンシュラフを持っていっていましたが使うことはありませんでした。
コスパパおすすめシュラフカバー+インナーシュラフ
1. OUTBEAR ULウルトラライトシュラフカバー
- 重量:約180g
- 価格:5000円前後
- 特徴:とにかく軽い、ゴアテックスの高い商品に比べると浸透性能はやや劣る。
2.プロモンテ ライトウエイト3レイヤーシュラフカバー
- 重量:約330g
- 価格:15,000円前後 ※予算が許せばこっちの方がおすすめ
- 特徴:高い防水透湿性能、夏山〜秋口まで幅広く対応。防水力と軽さのバランスが良い。
3. Nature hike インナーシュラフ
- 重量:約129g
- 価格:3,500円前後
- 特徴:丸洗いが容易。インナーシュラフの中でもかなりの軽量モデル、前モデルは350g。
まとめ|まずは軽くて安いカバーから始めよう
- 夏山のテント泊では、いきなり高級ダウンシュラフを買う必要はない。
- シュラフカバー → ダウンウェア → ダウンシュラフ の順で装備を足していくのがおすすめ。
- 寒さ対策は「重ね着」と「防風」がポイント。
- 初めてのテント泊なら、まずはコスパ最強のシュラフカバーを導入してみよう。
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