登山に行こうと思って山を選んでルートを選んで、山ごはんを考えて、よしこれで山行計画は完ぺきと思っているあなた!登山で大切な行動食選びは済んでいますか?登山にいくようになると、実は昼ご飯をどこで食べようかその時の状況で予定よりも早くおなかが空いてしまったり、山頂で食べたいけどちょうどいい時間には山頂に行けないなど、昼ご飯のタイミングが案外難しいことがあります。また、昼だけでは必要なカロリー摂取ができず、体調不良になってしまう危険もあります。私も行動食に対して意識するようになったのは登山を始めてしばらくしてからでした。よくよく考えると「一緒に行った友人からもらったあのお菓子にホントに救われた。」とか「あれを食べながらだったから頑張れた。」といった経験もありました。そこで登山の行動食として私がよかったと感じたものをまとめてみました。
行動食の役割と重要性
登山は長時間の有酸素運動で、多くのエネルギーを消費します。運動でエネルギーを消費し続けても全く補給しない場合、体内の血糖値が下がり、体だけでなく、脳の活動も低下。注意力や思考力、判断力が低下し、さらにひどくなると意識を失う場合もあります。車にたとえると「ガス欠」の状態で、登山用語で「シャリバテ」や「ハンガーノック」と呼ばれます。そのため、行動しながら食べ物を摂取して、体調管理、リスク管理をしていく必要があります。
エネルギー(特に炭水化物)が欠乏して起こる問題
出典:登山の運動生理学とトレーニング text3-8.pdf (jpnsport.go.jp)
・筋を活動させるエネルギーが不足して疲労が起こる
・脳神経系の活動能力も低下して,バランス能力や敏捷性など
が低下する
・上と同じ理由で,思考力,判断力,意志力などの精神的な能
力も低下する
・熱産生の能力が低下して,低体温症にかかりやすくなる
・炭水化物の代替エネルギーとして,筋や内臓のタンパク質が
分解されてしまう
・分解されたタンパク質から老廃物が多量に生じ,腎臓に負担
をかける
・その結果として,むくみが生じることもある
水分が欠乏して起こる問題
・持久力や筋力が低下して,疲労しやすくなる
・体温が上昇し,熱中症にかかりやすくなる
・心拍数が上がり,心臓に負担をかける
・血液の粘性が増して,心筋梗塞や脳梗塞などの引き金となる
・脳や神経系の働きが低下し,認知能力などの精神的な能力が
低下する
・脱水の反動で水分を貯蓄するホルモンが分泌され,むくみの
原因にもなる
行動食の選び方
行動食に求められる特徴
まず必要な考え方はこちらの特徴を持つものになります。
- 手間をかけないで食べられる
- 軽くてかさばらない
- 栄養価やカロリーが高い
- ゴミがでない
疲れているときに大事な要素と子供と登る際にもっとも重要な要素
実はこっちの方が重要かもしれません。疲れているとだんだん食べたくなくなり摂取が遅れます。また子供と登るにはとにかく登ることへのモチベーションを維持する必要があります。お昼ご飯のみを楽しみに登れるほど子供は我慢強くありません。こまめな行動食で気持ちをつなぐと子供は驚くひどたくさん歩きます。
- 好きなもの、テンションが上がるもの、頑張れるもの
- 飽きがこない、疲れていても食べたくなる
似たものを選ぶ際は成分表を確認して栄養素で決める
似た商品がたくさんあって選びにくい場合やどれくらい持っていけばいいか悩む場合は、三大栄養素も考えて選んでいくといいかもしれません。あまり細かく見たことがない方のために簡単に栄養素の特徴をまとめておきます。まずは重量あたりのkcalを見て選びますが、これら三大栄養素からおおよそのエネルギーを確認できます。
【糖質】1gあたり4kcal
体に入るとまっさきにエネルギーとして使われる。
炭水化物も分解されれば糖質になるが、時間がかかるためできるだけ糖の状態での摂取がよい。
蓄えやすく消費されやすい。糖質は行動中すぐに使われるので枯渇しやすい。
【脂肪】1gあたり9kcal
体に入ると脂肪酸に分解されてエネルギーとなる。
有酸素運動をすると糖質と一緒にエネルギーとして使われる。
【タンパク質】1gあたり4kcal
主に筋肉などを作る材料となる。アミノ酸などもこれに含まれる。
タンパク質が不足すると筋肉の分解が起きるため、筋肉を守るためにアミノ酸等をタンパク質を含んだものを摂取しながら行動するとよい。
行動食の適量は
量について悩むことも多いかと思いますが、こちらは登山のときに消費するエネルギー量の計算式になります。さらに細かい方法もありますが、おおよそが分かればいいのでこの程度で十分かと思います。METs(メッツ)は厚生労働省の文献の値を参考にしています。
エネルギー消費量(kcal)=7.3METs×(体重+荷物の重さ)×行動時間×1.05
平均男性64㎏、荷物6㎏で6時間の山行をする場合は、7.3METs×70㎏×6時間×1.05=3219.3kcalという計算になります。こういう計算はアプリやネット上で行えるページなどもありますが、私は簡単に考えられるように1時間あたり500kcal程度は摂取する必要があるとだけ覚えておいています。
今日の山は6時間だから大体3000kcalは必要だな。
今日の山は4時間だから大体2000kcalは必要だな。
といった感じです。案外たくさんのkcalが必要なので意識的に行動食を準備しないとまず不足となります。日帰りであれば山を下りてから食べれば問題ありませんが、泊りの場合はよくよく考えて準備する必要がありますね。
7.3メッツ 山を登る(約 4.5~9.0kg の荷物を持って)
参考:健康づくりの ための身体活動・運動ガイド2023 001171393.pdf (mhlw.go.jp)
例えば4時間の山行を計画しており、昼ごはんをカレーメシにしている場合はそれ一つで465kcalで107gです。それに加えて大体1500kcalを補給できるように下記の行動食を持っていくと1520kcalで538gとなります。以外に多い量に感じるかもしれませんが、計算上の適量がこれだけになります。日帰り登山の場合は、下山後に食べる食事で補えるのでそこまでピッタリ持っていく必要もないかもしれませんが、テント泊の場合はしっかりと持っていく必要があります。
- inバープロテイン ベイクドチョコ 208kcal 44g
- バウムクーヘン 798kcal 186g(6個)
- カルパス 410kcal 100g
- アミノバイタルゼリー 39kcal 180g
- 塩分チャージタブレット 104kcal 28g(10個)
おすすめの行動食
上記の例を含めて私がよかったと感じたおすすめの行動食を甘いもの、しょっぱいもの、酸っぱいものに分けてご紹介します。
甘いもの
inバープロテイン ベイクドチョコ
重量:44g エネルギー:208kcal タンパク質:15.8g 食塩相当量:0.15〜0.64g
タンパク質の量が多いプロテインバーは軽さもカロリーも優秀です。中でもベイクドチョコは暑い時期でも溶けないので、1本入れておいて間違いありません。昼食を遅らせて山頂で食べたいときなど、ある程度の量があるのでお腹にたまる感じもあり、ホントに万能です。
バウムクーヘン
重量:31g エネルギー:133kcal タンパク質:1.9g 食塩相当量:0.8g (一個あたり)
有名どころは無印のバウムクーヘンでしょうか。こちらは一口サイズ9個入りのものをチョイスしています。登山の際にはコンパクトになるようにあえて潰して丸めておくことで、食べやすく持ち運びもしやすくなります。テント泊で荷物をコンパクトにしたいときにおすすめです。また、プロテインバーほどはいらないけど少し入れて食べておきたいときにもよかったです。食べながら歩いていると食事休憩を入れずにだいぶ進めることができます。ハイペースな山行計画では活躍します。
ようかん
重量:60g エネルギー:176kcal タンパク質:2.1g 食塩相当量:0.02g (一個あたり)
ようかんは糖分の塊なので大量のカロリーを摂りたいときにおすすめです。シャリバテしないように摂取したいとき、さっと食べられます。行動食として持っている人も多いのではないでしょうか。しかも1本50円台で購入できる手頃さがいいです。しかし、うまく食べないと手がベタつくのがややデメリットです。それとゴミ袋も必須です。最近ではスポーツようかんというものも出ていますし、これより個包装になっているようかんもありますね。
ドライフルーツ
重量:120g エネルギー:302kcal タンパク質:0.8g 食塩相当量:0.3g (100gあたり)
ドライフルーツは種類も豊富で好きなものを選択できる楽しみがあります。私はパインが好きなのでこちらをビニールに移して持っていきます。これも砂糖漬けなので、かなりの高カロリーです。ドライフルーツは比較的単価が高いので、他の行動食とのバランスも調整するといいかもしれません。
しょっぱいもの
カルパス
重量:177g エネルギー:410kcal タンパク質:23.2g 食塩相当量:4.4g (100gあたり)
おなじみカルパスはしょっぱさもバッチリで甘いものばかりになりがちな行動食におすすめです。手も汚れず食べられるし、休憩の時にちょっと食べるのにぴったりです。
アスパラガスビスケット
重量:23g エネルギー:109kcal タンパク質:2.2g 食塩相当量:0.2g
アスパラガスはビスケットなのでしょっぱさは少なめですが、ゴマも入っており実はグラムに対してのカロリーが高めです。行動食としてカロリーを取りたいときに以外と重宝します。普通はもっと長いアスパラガスだと思いますが、ミニサイズのものだと折れる心配も少なくておすすめです。
ベビースターラーメン丸
重量:22g エネルギー:108kcal タンパク質:1.7g 食塩相当量:0.65g
山の行動食に最適なのはブロックになったベビースターラーメンです。ばらばらだと食べにくいので、必ず固められたものを選ぶようにしましょう。皆さん味はご存じと思いますが、山で食べるのはまた格別です。普段以上にヤミツキで止まらなくなります。
酸っぱいもの
アミノバイタルゼリー
重量:180g エネルギー:39kcal タンパク質:2.2g 食塩相当量:0.74g (1袋あたり)
アミノ酸:1.5g
こちらはおなじみのゼリー飲料です。特に酸っぱいものは選べるものが少ないので、私はできるだけ酸味のあるこちらを選ぶことが多いです。疲れてきた後半にのど越しがよく元気がでます。アミノ酸の特徴の運動後の疲労回復を期待して登りの終わり頃、もしくは下山中間地点で飲むことが多いです。
塩分チャージタブレット
重量:2.8g エネルギー:10.4kcal タンパク質:0g 食塩相当量:0.104g (一粒あたり)
カリウム15.5mg
最近は持っている人が多く、スポーツには欠かせないアイテムになっている気がします。
厚生労働省は水分と塩分の補給の目安として0.1~0.2%の食塩水を推奨しています。水100mlに対してタブレットを1~2粒食べることで、推奨される水分と塩分をバランス良く補給することができます。特にカリウムが摂取できるので水を飲み過ぎてナトリウム過多にならないように調整できるのが良さですね。
かむかむレモン
重量:30g エネルギー:122kcal タンパク質:0.2g 食塩相当量:0g
以前家族で行った登山の一番人気でした。酸っぱさで口がスッキリするからか、甘いものよりも食べたくなることが多かったです。家族分の場合はボトルで購入してジップロックが扱いやすいです。
ほかにも素敵な行動食はたくさんありますし、好みや家族で行く場合にはかさばるけど子供に人気のものを持っていく方がいいことも多々あります。自分なりのこだわり行動食を探してみてください。
おまけ
最近は登山仲間の影響もあり、このアミノバイタルを持っていくようになりました。アミノバイタルに商品によって適正摂取タイミングに違いがあります。こちらは運動前から運動中にかけて摂取を推奨されている商品です。私はというとここから少しきつくなってくるぞといったところで摂取するようにしています。こどもには筋肉の回復を助ける粉といって飲ませると、まずそうにしていましたがその瞬間から、しばらく踏ん張りがきいてくれました。プラセボ効果も含めてステキな商品です。
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