スノーボードのホットワックスのコツ!押さえておきたいポイントと楽に仕上げるコツを紹介

スノーボード

スノボに行くのは大好きでゲレンデに来たはいいけど、今日もワックスかけずにきちゃったなって方、多くないですか?レースをするわけではないからできるだけ手軽に効果のあるワックスをかけられたらいいと思う方向けに行うべき工程とコツをご紹介いたします。

ワックスをかけるべきタイミングは?

ワックスをかけるタイミングを簡単に判断するなら、エッジ近くに毛羽立ち(白い状態)がでてきたらかけ直すようにしましょう。今回の画像では毛羽立ちというよりは春雪によるよごれの方が多いです。

通常、工程を説明する際は毛羽立ちに対してブロンズブラシを使ってそぎ落とす作業を含みますが、私はスクレーパーをかける程度で済ますことが多いですし、頻繁にワックスしていれば毛羽立ちはほとんど気になりません。しっかりとそぎ落とす必要がある時(中古で板を買った際など)はソールサンディングしますが、大変な作業になるので、シーズン途中に行うのはおすすめしません。今回もブロンズブラシの工程は省いた形で説明をしたいと思います。

素材による違い

ソールの素材によってワックスの持ちは変化します。

エクストリュードソール:

1番安価なソールです。どれもポリエチレンでできていますが、溶かして型で形成しただけのソールで、ワックスがあまり染み込みません。ホットワックスをやってもそこまで効果が上がらないので、私はベースワックスを生塗りして液体ワックスで仕上げる方法が適していると思います。

シンタードソール:

それなりに高い板は基本的にシンタードソールです。ポリエチレンに圧をかけてから削り出す手間のかかったソールです。分子の密度が高く、隙間にワックスの入り込み、ホットワックスをすることでの効果が高いものになります。機能重視のソールで、ホットワックスを行うことで、本来の滑走性能が発揮されるので積極的に行うことをおすすめします。逆にやらないならエクストリュードソールの方がよく走ります。

グラファイトソール:

シンタードにグラファイトが配合されており静電気が発生しにくくなっています。静電気除去により雪面との摩擦抵抗をさらに下げることができます。機能性はシンタードソールよりも高いですが、ワックスの持ちが悪く2日ほど滑ったらワックスをかける必要があり、頻繁に手入れをしてでもよく滑る板に乗りたい方におすすめです。

作業手順

ビンディングの取り外し

ポイント➀板に対して押す力を加える。

ポイント➁もとのセッティングを確認しておく。

まずはビンディングを外しておく必要があります。専用のワックス台がある場合は外さずにワックスをかけることもできますが、ワックスの削りカスがくっついてビンディングが汚くなるので、外すことをおすすめします。ビスを外す際は、3番のプラスドライバーを使います。画像のように片手で押すように力を加えることでなめずに外すことができます。また取り付けの際もこの方法で締めることで、緩まないように締めることができます。

エッジ研磨

ポイント➀ノーズからテールにかけてワンストロークでかける。

ポイント➁先にソール面を行い、最後に側面を行う。

ポイント➂やりすぎはエッジの消耗に繋がるため、普段は側面のみを行う。

ワックス後でも問題がありませんが、エッジ近くのソール面を傷つけやすいので先にやっておく方がおすすめです。エッジ研磨は通常エッジシャープナーを使用します。しかし、エッジシャープナーも適切な角度で行えないとかえってグリップ力が低下したり、グラトリを行う方には鋭角のエッジ角が出てしまうと引っ掛かりやすくなってしまうため、神経を使う作業です。

私がおすすめするのは、200~300番程度の砥石を水に濡らしてエッジを数回研ぐメンテナンスです。これはスノボ当日の朝、駐車場でも行えるくらい簡単なメンテナンス方法で、角度も意識せずに何気なく側面を研ぐだけ。エッジシャープナーほどは研げないので、変にエッジ角を変える心配もありません。しかも砥石も小さいものをホームセンターで購入するだけなので、数百円のお値打ち価格です。

ちなみにワンストロークで研ぐ理由は研ぎムラがでないようにするためです。また先に側面を研ぐのはバリが残りエッジングの際の引っ掛かりにつながるためです。

ベースワックス(クリーニングワックス)

ポイント➀汚れがひどい場合は塗る剥がすを繰り返す。(時短の場合は布で拭きとる)

ポイント➁アイロンの温度は120℃で、ソールを焼かないように手を止めない。

ポイント➂上に乗せるのではなく、ソールに浸透させるようにじっくりと温める。

クリーニングはベースワックスを繰り返すことで代用ができます。特に汚れがひどい場合はベースワックスをしっかりと溶かした状態で布で拭きとる方法です。通常は冷めてからスクレーパーで剥がす作業を繰り返すのですが、これを繰り返すのは時間も体力も必要です。おおざっぱに汚れを落とす分にはふき取りが圧倒的に早くて楽です。

アイロンの温度設定は概ね120℃程度が安全です。130℃を超えるとソールを焼いてしまうリスクが増えます。ベースワックスの場合は柔らかいので、120℃で十分スムーズに溶けていきます。板の上でアイロンにワックスを押し当てると溶けたワックスがポタポタと垂れていきますので、まんべんなく板に垂らしたところで、伸ばしていくようにします。

ベースワックスも滑走ワックスも同様ですが、ソール面に対してワックスはコーティングされるように乗るのではなく、ソールの素材の細かい隙間に浸透することで効果を発揮します。ですので、ホットワックスでは温めて溶けたワックスが素材に浸透するための時間が必要になり、じっくりとアイロンで温めていく必要があります。さっさと終わらせたいところですが、ここは我慢しないとせっかくのワックスがもったいないです。

スクレーパー

ポイント➀スクレーパーを傾けた方向に動かす。

ポイント➁最終仕上げはブラシで行うため、多少残っていても問題なし。

ポイント➂縦方向に削る。横方向には削らない。

スクレーパーで一番間違えやすいのはあて方です。この画像ではノーズに向かって削っています。レースの方はノーズからテールに削ることを基本にしているかとは思いますが、私はそこまでは気にしません。ですが、スクレーパーのあて方が反対向きの場合、少ない力でワックスを削ることが可能ですがソール自体をめくり上げてしまう可能性があります。ソールが剥がされたら、滑走性能は著しく落ちて頑張ってワックスをかけているのに本末転倒です。その後のブラシで残ったワックスもしっかりと剥がしていくので、ここでは大体のワックスが剥がされればいいやというくらいの気持ちでやるようにしています。

滑走ワックス

ポイント➀高価なので節約するために薄めに塗る。

ポイント➁フッ素の量が滑走性能

ポイント➂当日の山、ゲレンデに温度帯は合わせる

基本的な塗り方はベースワックスと同じですが、滑走ワックスで大きく違うところは高価であることです。大部分を剥がしてしまうワックスかけなので、たっぷり塗るのではなく必要最低限を薄く塗っていくことをおすすめします。ベースワックスのときはアイロンに押し当てて溶けたワックスをポタポタと垂らす方法(画像右側)を使いますが、薄く塗る場合は一瞬アイロンにあてたワックスを板に直塗りする方法(画像中央から左側)で広く薄く塗ることが可能です。さらに薄く塗った方が剥がすときも楽になります。

滑走ワックスの温度帯は実は結構重要です。温度帯があまりに違うワックスでは滑走性能が上がりません。大まかに1月~2月は硬いワックス、3月~は柔らかいワックスとイメージしておくといいかと思います。

硬いワックス(温度帯が低いもの):

撥水性が悪い。雪の結晶が刺さりにくい。汚れが付きにくい。ワックスが落ちにくい。

柔らかいワックス(温度帯が高いもの):

撥水性がよい。雪の結晶が刺さりやすい。汚れがつきやすい。ワックスが落ちやすい。

特に気温の低いバックカントリーで柔らかいワックスを使った際、ソールに雪が張り付くことがありますが、こうなるとまるで滑らなくなりスクレーパーをかけないとどうにもならなくなります。

スクレーパー

ベースワックスの時とポイントは同様です。

私のおすすめのスクレーパーは最近話題のカーボンスクレーパーです。切れ味がよく、削りカスもくっつきにくい優れもの。

ブラッシング

ポイント➀ナイロンブラシ→馬毛ブラシの順にかける。

ポイント➁手で触ったときの滑りがよくなるまで繰り返す。こすればこするほどよい。

ポイント➂縦方向にかける。

最後にツルツルになるまでブラッシングします。腰を入れてひたすら縦方向にブラッシングしていきます。触ると今までワックスで摩擦抵抗を感じていたソール面が明らかにツルツルになっていきます。

効果としてはナイロンブラシでソール面をツルツルにして、馬毛ブラシがストラクチャーという細かい溝のワックスを掻き出す目的で行われます。

手作業で家族分を連続で仕上げると相当な負担になるようで、コスパパは4枚仕上げて手首を壊した経験があります。腱鞘炎のような状態ですね。その後、電動のナイロンブラシの購入を決意しました。電動の力は絶大で頻繁にワックスをかけてもそこまで疲れなくなり、時短にもなります。現在、ワックスを冷やす時間を抜くと作業時間がおよそ30分ほどで1枚が完成するようになっています。

ワックス前

ワックス後

よく走る板は滑っているだけで楽しい感覚が得られますし、スキルアップにも必ず繋がります。是非ホットワックスをかけて、滑走性能の違いを感じてみてください。

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